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おせち料理の安い買い方&年金問題は貯蓄型のシンガポールを参考に |
柏木理佳 メルマガ 12月号 早いもので、今年も残り1か月を切りました。今年も大変お世話になりました。来年も何卒よろしくお願いいたします。
1) おせち料理の原材料、加工食品は、12月20日ごろまでにスーパーで購入すると10分の1の値段で購入可能、数千円でおせち料理ができる。 2) OPEC原産でガソリン代金上昇、100円ショップの商品まで値上がりする。10円値上がりで年間5000円以上の支出が増える。 3) 日本の年金制度はシンガポールの貯蓄型の年金制度を参考に!
1) おせち料理は今、準備すると10分の1の値段で買える。 ・12月の平均支出額は31.8万円で、1月から11月の平均支出額の28.7万円に増えるが、内訳の半分はおせち料理の出費で占めている。 ・おせち料理は「一部手作り」が5割、「全部手作り」は1割以下。栗きんとん、かまぼこ、エビなどを20日まで購入すれば10分の1の値段で購入できる。 ・スーパー2社の値段を調査しても、12月5日現在の黒豆の加工食品は170円(120g)、278円(140g)で、先月から値上がりしていない。 ・一方、北海道産の乾物は、1029円(200g)から2980円(250g)と値上がりしている。数の子は1700円から2500円に1.5倍に値上がり(過去5年平均と比較)しているが、特に北海道産は1280円(190g)は、高め。 ・かまぼこも先月の値段198円(120g)から値上がりしていないが、しかし、おせち料理用品を購入し始める12月20日以降は、例年、1000円ほどになる。エビも2000円から3000円に、鯛も600円が900円になる。 ・20日以降は、かまぼこ198円(120g)の商品はもう手に入らず、1000円のおせち用の商品しか店頭で売られなくなる。今のうちから賞味期限のあるものを購入して置くと10分の1の値段で調達できる。 ・現在は、食品の1割、加工品の5割が輸入もので占めている。世界的に天候不良、賃金の上昇により値上がり気味である。今のうちに賞味期限をみて購入すると数千円でおせちセットが作れる。
2) OPEC原産でインフレ懸念 ・現在のガソリン価格の平均は120円代。原油安や為替の影響による実際の物価への値下がり期間には数ヶ月かかるが、値上がりは、すばやく、今月からガソリン代が高くなる。 ・プラスチック、衣類、セメント・鉄鋼、電気代、野菜、食品などあらゆるものが値上がりし、実態として給料は上がらないのに物価が上がり、短期金利が上がり、ローン返済の金利が上がる懸念もある。2015年の一世帯あたり月平均支出額は28.7万円で、2014年の29.1万円、2013年の29万円より減少しているが、ガソリン代10円上がることで家計への影響は全国平均で年間5千400円の支出が増える。
3)日本の年金制度はシンガポールの強制積立型年金制度(CPF)を参考に。 ・年金制度改革により、賃金に合わせて年金支給額も減額、下落率は物価より賃金の下落率に合わせる(2021年施行)、前年度までの未調整分も調整(2005年まで遡ると3%~5%減少)となった。 ・現在の70歳代は、払い込んだ金額の4倍が年金として給付されているが、20~30歳代は将来もらえる金額はマイナスになる懸念がある。世代間不公平は、若者が高齢者の面倒をみる「賦課」方式がメインだからである。積立金も不足、国庫からの負担も20年以内に枯渇する。 ・破綻を防ぐには透明性の高い、個人(自分)が自分のために貯蓄する積立金制度を多く取り入れる必要がある! ・シンガポールの積立型年金のシステムは、自分自身の口座に、会社から給料の20%と自分の給料から17%、合計で37%が貯蓄され、年金は、原則、65歳までは引き出し禁止、多くもらいたい人はより多く積立が可能、月20万円まで受け取ることができ、終身型も新設された。 ・一定の残高(600万円ほど)があれば、以下の1)2)の用途に引き出せる。 1)住宅購入 (CPF口座により住宅購入はモチベーションを上げ、国民の9割が持ち家に)。 2)高額医療費用 (一般外来は保険が適用しないが1回数千円と安い)。 ・人口も東京の半分で、国立病院が半分を占めているため医療費も安く抑えられている。 ・日本は、薬事法の承認を得た薬をほぼすべて適用、世界でも珍しく保険適用範囲の薬が1万7000種類と多すぎる問題もある。 ・シンガポールは平均寿命83歳、65歳以上の人口13%、GDP成長率2%だから利息も2.5%は保証される。一人あたりの平均資産が3000万円、平均年収520万円、日本の高齢者人口より小規模だから口座の管理、積立型年金システムも取り入れやすい。 ・賦課型年金制度(日本型)は物価高に対応可能というメリットはあるが世代間格差、現役労働者不足による資金不足というデメリットがある。一方、積立型年金制度(シンガポール型)は、少子高齢化対応可能、運用利益上乗せ可能というメリットがあるが、インフレで目減りするというデメリットもある。 ・マーサー社「グローバル年金指数ランキング」2016(貯蓄額、資産運用、持続性、政府債務、ガバナンスなどの評価によりランキング)によると、日本の年金シドは25カ国中23位、持続可能が疑われるレベルと指摘されている。 ・日本と同じ「賦課方式」でも、フランス、ドイツは一部の職業(医師や弁護士のみ)に年金制度加入を義務化。ウェーデン、イタリアでは、本人の支払い金額ともらえる金額をマイナスにならない対応に移行した。オーストラリア、ドイツは貯金による積立部分を増やすように移行した。 オランダ、ベルギー、フランスなどは納付期間がなく、他国も5年間納付すれば年金は受け取りが可能である。(日本のように10年(25年から10年に縮小した)が、まだ長すぎる。実際、海外での学生生活が多い人などは定年まで働いても10年未満でもらえないことがわかっているが、義務だから払わなければならないという納得できない人も多い)。 ・日本の年金制度改革は、抜本的な改革が必要である。
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トランプで中国反ダンピング製品増加&市場経済でなければ人民元国際通貨も問題? |
柏木理佳 メルマガ 11月号
1) 中国を市場経済国に認定しない米国。中国の反ダンピング製品が増加 米国政府は、中国はWTO協定上の「市場経済国」に認定しない方針に決めた。今後は、中国の反ダンピング製品が増加する。 2) 人民元国際通貨の認定外しも?RCEPにより人民元取引圏が拡大するリスク 昨年、人民元は、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加わったが、中国政府の関与のない人民元の自由取引の拡大が条件にあった。RCEPにより金融取引の自由度が低いまま人民元の取引圏が拡大されれば、外交、安全保障、為替リスクも拡大することが懸念されるため、今後はSDR構成通貨メンバーとしての地位も厳しく監査される可能性がある。国際通貨採択後、高値をつかんだから売り逃げようという投資家により人民元安が続いていたところで、トランプ勝利が、さらに下落要因となっている。リーマンショック後の最安値を下回るほど人民元安が進んでいるが、今後も続く恐れがある。
―輸出減少と関税― トランプは「中国製品の関税を引き上げるべき」と指摘しているが、米国は、すでに、中国製品に対して、太陽光発電設備、鉄鋼製品、冷延鋼板などに対して反ダンピング製品(国内企業が損害を被るほど極端に安値で輸入しているなどに、正常な価格に是正する目的で関税を引き上げられる)と指摘、今後も反ダンピング製品が増加、輸出減少が進む。 そうでなくても、中国製品の輸出は減少している。9月の中国輸出は前年同月比で1割減少の約19兆円。6ヶ月連続の減少、2桁減少率は2年半ぶり。特に1-9月で米国向けは8%減少、EU,日本向けの2倍の減少率である。輸入も減少し貿易総額は8%近く減少しているが、輸出の減少に歯止めはかからない。不動産バブルとともに注視する必要がある。
―日本の自動車メーカーへの影響― ・関税なしでメキシコから米国に輸出できたが、北米自由貿易協定が見直されれば、メキシコに工場がある日本車メーカーは打撃を受ける。年間25万台をメキシコ工場で生産しているマツダや、5割をメキシコで生産している日産、トヨタ、ホンダも打撃を受ける。日本の自動車の輸出先は、米国34%、豪州6%、欧州11%(アラブ4%、中国6%、サウジアラビア3%、ロシア5%、カナダ2%)である。米国向けの関税は現在2.5%。カナダでは現在6%あまりの関税だが、税金が低くなっても、実際に日本車の販売が増加するのはだいぶ先のことである。中国主導のRCEPで日本経済の成長とともに日本の役割を強化することも必要であろう。
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